オリオンの夜に〜禁断の恋の果ては、甘く切なく溶けていく〜
白い素肌を揺らしながら、眠ってしまった明香が風邪を引かないように、さっき脱がせたスウェットを、起こさないように着せていく。

華奢な体に、俺の付けた痕が、いくつも見える。

今日、俺は明香に初めて嘘をついた。明香が、冬馬にあってきちんと兄妹として、線引きをしてきたこと。

正直に未央に聞いてきたことに対して俺に答えを求めたこと。俺の想いに応えたい一身で俺の為に、明香は今日一日一緒懸命だったのだろう。

それなのに俺は、なんて狡い男なんだろうか。

明香に、きちんと本当のことを伝えないまま、今日も明香を俺は抱いた。

俺のものだと誇示するように、胸から太腿にかけて幾つもの、花弁の痕をつけると、明香を何度も突き上げて、欲を吐き出した。

明香は少し躊躇っていたが、俺は、あえて避妊具をつけなかった。

明香を誰にも渡したくなくて。
明香を俺だけのものにしたくて。
知らなくていい真実もある。
明香が傷つかない為に。

俺はそう自分に言い聞かせていた。

隣を見れば、何一つ疑うことなく、眠る明香を俺は、頬に触れてキスを落とす。

俺はゆっくり起き上がると、デスク上の卓上ライトを点けた。鞄の中から、薄いブルーの封筒を取り出す。まだ中を見ていない、人間ドックの検査結果だ。

小さく息を吐き出してから、俺は中身を確認する。

1枚、2枚とめくっていく。
3枚目のページだった。何かの間違いであって欲しい。そう思うほどに、その文字はくっきりと印字されていて、俺の喉元を抉るようだ。


ーーーー『要精密検査』

俺は、何度もその項目欄に目を通しながら、検査結果を広げて持つ右手だけが、震えていることに気づいた。

そういえば、いつ頃だろうか、時折、右手に力が入りづらく、震えることがあった。同じく右足の先もだ。

俺は、ゆっくりと書類を元のブルーの封筒に仕舞う。どこか病院を探さなければならない。この辺りは未央の父親の息のかかった病院ばかりだ。

今の俺の状態を、俺だけで知っておきたかった。

静かな呼吸音を繰り返しながら眠る、愛しい人を抱き寄せると、俺は体温伝染させるように瞳を閉じた。

このまま、ずっと、明香のそばで、明香と同じ時を過ごしたい。

明香を幸せにすることが、俺の幸せだったから。
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