オリオンの夜に〜禁断の恋の果ては、甘く切なく溶けていく〜
綺麗な二重瞼をゆっくりと開くと、春樹が天井をぐるりと眺めてから、ベッドサイドの俺達に、視線を向けた。

「病院……だよな……ってことはバレたってことか」

春樹が、諦めたように、目を細めた。

「ふざけんなよっ、どんだけ心配したと思ってんだよっ」

春樹は、俺と幸之助を交互に眺めている。

「……春樹、何故言わなかった?……このまま放っておいたらどうなっていたか……」 

幸之助の声が、震えているのが分かった。

「親父も……ごめん。でも……隠し通したかったんだ……ギリギリまで、心配かけたくなくてさ」

「言えよっ!家族だろ!」

「冬馬は、絶対怒ると思ってた……てゆうか、怒られたかったから」

俺は押し黙った。 

ーーーー怒られたかった。

春樹が言ってるのは、病気のことと、明香と俺が兄妹じゃないことを黙っていたこと。

「冬馬……ごめんな」

「何でお前が謝るんだよっ」

俺は、昨日、何度も明香を抱いた。春樹も芽衣も手放して、二人だけで生きようとした。

罰を受けるのは、本来俺の方だ。春樹じゃなくて……。

「……気分は?……」 

「まずまずだよ、コレのおかげかな」

春樹は、ぶら下がってる点滴の針が刺さった左手を持ち上げた。


その時、扉が開いて、明香と未央が入ってきた。明香の大きな黒い瞳が、春樹を見てすぐに駆け寄ってくる。

「春樹っ……」
俺たちが、居るのも構わずに、明香は、春樹に抱きつくと、泣きじゃくった。

「ごめん、なさ……ひっく……私の……せい……ひっく」

春樹は、点滴を繋がれた手で明香の背中を包む。そして、視線は俺たちに向けられる。

「ごめん……少しだけ明香と二人で話してもいい?」

俺と幸之助が、視線を合わせて出ていくと、未央も部屋から出た。

未央はパンツスーツに身を包み、掌で方向を指し示す。

「社長、今後の春樹のことについて、父と兄から説明がありますので、こちらへ」

「俺もいく」

「勿論、そのつもりよ」

未央は踵を返すと、応接室へと足を向けた。
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