オリオンの夜に〜禁断の恋の果ては、甘く切なく溶けていく〜
春樹が、目を丸くして、子供みたいに嬉しそうに、歯を見せて笑った。

「すっげー嬉しい……」

「喜んで、くれるの?」

「当たり前だろ!今まで生きてきて、一番幸せだよっ」

こんなに嬉しそうな春樹の顔いつぶりだろうか。

私の心の根っこまで、あたためてくれる、私の大好きな、春樹の優しい笑顔だった。

「こんな私……でも家族になってくれる?」

「俺こそ、大切にする。一生かけて幸せにするから……明香のことも。……産まれてくる子供のことも」

春樹が、エコー写真の小さな命を愛おしそうに指でなぞると、私の頬に触れた。

「冬馬を忘れてなんていわないから……。でも何にも心配いらないから。……家族になろう」

「……ふっ…ひっく……春樹」 

「大丈夫だよ……」

春樹が、私をそっと抱きしめた。

「幸せになろう……」

私は、春樹と共に生きていく。 


ーーーーそして、春樹をお父さんにしてあげたい。

寂しい子供時代を過ごしていた、春樹に家族をつくってあげたい。

私の寂しい心を、何度も涙と一緒に(すく)ってくれた春樹が、いつも笑っていられるように。この子が、私が春樹にもたらしてあげられる唯一の幸せだと、心から思った。
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