オリオンの夜に〜禁断の恋の果ては、甘く切なく溶けていく〜
「何年ぶりかな」

春樹が、マフラーで口元まで隠すと、満点の星空を見上げながら、ゴロンと寝転んだ。

「マジで、今夜は、今までで一番かもな」

望遠鏡を組み立てて、俺は、レンズを覗き込む。

「お前、毎回そう言うよな」

春樹が、俺を見上げながら、にんまり笑う。

「ばぁか、うるせぇよ」

藍色の空には星達が瞬き、輝きながら今にも堕ちてきそうだ。いい星日和(ほしびより)だ。

ーーーー春樹達が、帰国してから、あっという間にに1ヶ月たった。

今夜は、特にオリオンが綺麗に見えると知った俺は、春樹達も、誘って、サークル時代に観察に来ていた丘へ、オリオンを見に来ていた。

此処に来るのも明香と一緒に、篤達と来て以来だ。

レンズのピントを合わせて、暫くオリオンの三つ星を眺めていた俺は、あの日、明香とオリオンを眺めて、初めて想いを伝え合って、抱きしめ合った夜を思い出していた。

何もかもが、ついこの間のことのように、鮮やかに思い出される。俺は、レンズから、目を離して、春樹の横にゴロンと寝転んだ。

「綺麗だな」

先に口を開いたのは、春樹だった。

「そうだな、星が堕ちてきそうだ」

藍の夜空には、明香と最後に見たオリオン座がいつもと変わらずに、ぶら下がっている。

俺は、真ん中の三つ星に向かって、掌を夜空に翳した。
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