オリオンの夜に〜禁断の恋の果ては、甘く切なく溶けていく〜
『愛してるよ』
星の輝きに混ざって、明香の声が降ってくる。
「……冬馬、俺はさ……明香を、お前から取り上げて、幸せにしてやれてたかな」
春樹の吐息が、まあるく白くなって、夜空の三つ星に向かって吸い込まれていく。
「誰よりも春樹は、明香の幸せだけを願って、本当に大事にして、愛してた。……そんな春樹のそばに居て、明香が幸せじゃない訳ねぇだろ」
「そうだと、俺は救われるけどね……」
「んな顔してると、明香が、口尖らせんだろうが」
俺は、左肘を立てて春樹を、覗き込んだ。
「してやろうか?アヒル」
「お願いしようかな?」
「ばぁか」
俺たちは顔を見合わせて笑った。
それに重なるように、明香の笑い声も重なる。
「俺たちはさ、ずっと一緒なんだよ、あのオリオンの三つ星みたいに」
俺は、愛おしい三つ星の真ん中を指でなぞる。
「いつか、俺たちも明香の隣に、また並ぶんだろうな」
春樹も手を翳すと、愛おしそうに、二重瞼を細めた。
「あぁ、それまで明香が泣かないように、心配しないように、ただ幸せになるんだ。……明香は、ただそれだけを願ってるから」
「パパー」
「パーパー」
不意に呼ばれた、我が子の声に俺と春樹は同時に体を起こした。