オリオンの夜に〜禁断の恋の果ては、甘く切なく溶けていく〜
小さな掌が、俺の背中に回されて、ぬくもりが心地いい。
ずっとこのまま、明香と居られたらどんなにいいだろうか。俺は無意識に、明香の額に唇を、寄せた。
「……愛してる……」
あのオリオン座を一緒に見た夜、重なり合った俺は、明香に初めてそう言葉にした。
ずっと心の奥底に秘めていた想いは、言葉に出してしまえば、あっけなかった。
あとは空に輝く流れ星と同じで、転がるようにあっという間に堕ちていく。
ーーーーそれが禁断とされていることだとしても。
ゆっくりと瞳を開けると、長い睫毛を揺らしながら、芽衣が、こちらに幼い寝顔をむけていた。
俺にしがみつくように伸ばしていた掌が、明香じゃなくて、芽衣だと気づく。
起こさないように、起きあがろうとした時、芽衣の手が、俺のスウェットの裾を掴んだ。
「……なんだよ、起きてたのかよ」
起きあがろうとした俺は、また枕に引っ張り戻された。
「愛してるって誰に言ったの?」
余計なことまで聞いてんじゃねぇよ。
「……抱く女全員」
「ふぅん……ねぇ、冬馬って、可愛い寝顔してんのね」
「うるせぇよ、勝手に見んな」
そっぽを向いた俺に、芽衣が、冬馬、顔赤いーと揶揄ってくる。
「芽衣、てゆうか、俺に何されたかわかってんの?」
体制を変えて、芽衣の後頭部を掌で掴んでやる。顔と顔の距離が近くなって、芽衣がわずかに腰をひいた。
「何にもしてないでしょ?……」
芽衣が、無垢な瞳で俺を見つめかえした。
「キスはしたけど?さすがに寝てる女抱く趣味ねーからな」
可愛くない返事が返ってくると思ってた、俺の予想に反して、芽衣の顔が、みるみる真っ赤なる。
「ばぁか、何にもする訳ねぇだろ」
芽衣の額を軽く小突くと、俺はベッドから立ち上がった。
「今日は朝、俺が作ってやるよ、二日酔いだろ?酒弱いんだから、今度から飲むなよな。運ぶのも重いし」
俺の布団を頭までかぶり直すと、芽衣が小さく、ありがと、とつぶやいた。