13歩よりも近い距離
ゴールデンウィーク前に一度くらいは岳を家から引っ張り出したかったけれど、それは叶わず、とうとう明日から大型連休。
「とりあえず、顔見てから帰るかあ」
連休前最後の放課後。私は岳の家に立ち寄った。
岳の部屋へと入ると、ベッドフレームに背を預けて本を読んでいる彼が目に入る。
「うわ最高。ここクーラー効いてるじゃんっ。今日は夏みたいに外は暑いからねー」
桜が散れば、たちまち緑が主役になり、そろそろ太陽が主役の季節。岳の半袖姿は、今年度初めて見た。
「あれ、岳……」
私は彼の隣に座る。
「なんか、痩せた?」
腕を握ってそう言うと、岳はその手を勢いよく振り払った。
「誰のせいだと思ってんだよっ。お前が俺の告白全っ然受けてくれねえから、運動不足の食欲不振で、どんどんほっそくなってくわっ」
「だめだよ、ちゃんと食べなきゃ」
「じゃあ俺と付き合えっ」
「付き合わないってばっ」
キッと私に歯茎を見せて、飴を口に投げ込む岳。ガリッと即、噛み砕く。
「なに読んでたの?」
岳の手元の本を覗いてそう聞いた。
「エロ本」
「うわ。ほんとだ、はだかんぼ」
「アホか、ちゃんと見ろよ。保健体育の教科書だろがっ」
「えーっ、なんでまた」
「そこらへんにあったから、暇つぶし」
そんなもので?と束の間疑問を抱くが、岳がたまたま開いていた臓器のページを眺めてみれば、少し興味が湧いた。
「私たちの身体の中、ぐにゃぐにゃしたものばっか入ってるんだねっ」
つり目を維持していた岳の顔も、私が彼の身体をくすぐるように撫でれば綻んだ。
「とりあえず、顔見てから帰るかあ」
連休前最後の放課後。私は岳の家に立ち寄った。
岳の部屋へと入ると、ベッドフレームに背を預けて本を読んでいる彼が目に入る。
「うわ最高。ここクーラー効いてるじゃんっ。今日は夏みたいに外は暑いからねー」
桜が散れば、たちまち緑が主役になり、そろそろ太陽が主役の季節。岳の半袖姿は、今年度初めて見た。
「あれ、岳……」
私は彼の隣に座る。
「なんか、痩せた?」
腕を握ってそう言うと、岳はその手を勢いよく振り払った。
「誰のせいだと思ってんだよっ。お前が俺の告白全っ然受けてくれねえから、運動不足の食欲不振で、どんどんほっそくなってくわっ」
「だめだよ、ちゃんと食べなきゃ」
「じゃあ俺と付き合えっ」
「付き合わないってばっ」
キッと私に歯茎を見せて、飴を口に投げ込む岳。ガリッと即、噛み砕く。
「なに読んでたの?」
岳の手元の本を覗いてそう聞いた。
「エロ本」
「うわ。ほんとだ、はだかんぼ」
「アホか、ちゃんと見ろよ。保健体育の教科書だろがっ」
「えーっ、なんでまた」
「そこらへんにあったから、暇つぶし」
そんなもので?と束の間疑問を抱くが、岳がたまたま開いていた臓器のページを眺めてみれば、少し興味が湧いた。
「私たちの身体の中、ぐにゃぐにゃしたものばっか入ってるんだねっ」
つり目を維持していた岳の顔も、私が彼の身体をくすぐるように撫でれば綻んだ。