あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
「たいくんと両想いになりたかった……」
ポツンとつぶやいたと同時、ピューレを舐め終えた猫が、「にゃ」と不愛想に一声お礼鳴きをして、繁みの奥に走り去っていってしまった。
「あ、……待っ――」
ひとりにされるのがイヤで思わず手を伸ばしたら、ずっとしゃがんでいて足がしびれたからか、バランスを崩して地べたに這いつくばる形になって……。折悪しく足の下に尖がった小石があって、ひざにそれが刺さってしまう。
「痛っ」
猫のお陰でほんの少し上がりかけていた気持ちが、一気にしぼんで、自分は猫にも見放されてしまうような女なんだと思ったら、止まっていたはずの涙が復活して……ポツポツと地面に小さなシミを作った。
――きっと、誰かの幸せを奪い取るような変な願い事をしてしまったから……猫にも見切りを付けられてしまったんだ。
猫がそこまで考えているはずはないと、頭の片隅では分かっているのに、どんどん悪い方向に気持ちが向かってしまう。
(立ち上がらなきゃ……)
いつまでもこんな情けない格好のままでいるから、そんな不毛なことを考えてしまうんだ。そう思うのに、身体を起こせないまま身動き出来ずにいたら、
「ねぇキミ。暗くなってきてるのに……女の子がこんな人通りの少ないところに一人で居たら危ないよ? ――もしかして……気分でも悪いの?」
突然背後から柔らかな声が降ってきて、杏子はノロノロと振り返った。
***
ポツンとつぶやいたと同時、ピューレを舐め終えた猫が、「にゃ」と不愛想に一声お礼鳴きをして、繁みの奥に走り去っていってしまった。
「あ、……待っ――」
ひとりにされるのがイヤで思わず手を伸ばしたら、ずっとしゃがんでいて足がしびれたからか、バランスを崩して地べたに這いつくばる形になって……。折悪しく足の下に尖がった小石があって、ひざにそれが刺さってしまう。
「痛っ」
猫のお陰でほんの少し上がりかけていた気持ちが、一気にしぼんで、自分は猫にも見放されてしまうような女なんだと思ったら、止まっていたはずの涙が復活して……ポツポツと地面に小さなシミを作った。
――きっと、誰かの幸せを奪い取るような変な願い事をしてしまったから……猫にも見切りを付けられてしまったんだ。
猫がそこまで考えているはずはないと、頭の片隅では分かっているのに、どんどん悪い方向に気持ちが向かってしまう。
(立ち上がらなきゃ……)
いつまでもこんな情けない格好のままでいるから、そんな不毛なことを考えてしまうんだ。そう思うのに、身体を起こせないまま身動き出来ずにいたら、
「ねぇキミ。暗くなってきてるのに……女の子がこんな人通りの少ないところに一人で居たら危ないよ? ――もしかして……気分でも悪いの?」
突然背後から柔らかな声が降ってきて、杏子はノロノロと振り返った。
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