あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
 今日は自分の部署――財務経理課――の部下・荒木(あらき)羽理(うり)が有給休暇で休みだった。
 体調不良と言うことだったが、前の日に彼女を見舞っていた倍相(ばいしょう)岳斗(がくと)としては思うところがなかったわけじゃない。

(あの後なにがあったかなんて聞かなかったけど……まぁ恋人同士がひとつ屋根の下となれば……お察しだよね)

 朝、屋久蓑(やくみの)大葉(たいよう)と話しながらそんなことを考えたのを思い出す。
 荒木さんに罪はないけれど、明日には是非とも回復していて欲しい。
 そのためにも帰り際、屋久蓑(やくみの)部長に『今日はほどほどにして下さいね?』と軽く釘を刺そうと思っていたのに、終業後所用があって出かけている間に彼は帰ってしまっていた。

 大葉(たいよう)、今朝は珍しく遅刻してきていたし、今までの〝屋久蓑(やくみの)部長〟の働き方を思えば、その分――いや、ともするとそれ以上に残業するものだと思っていたのだが、どうやら考えが甘かったらしい。

(家に残して来てる荒木さん(こいびと)が心配だったんでしょうけど)

 何だか今までの〝屋久蓑(やくみの)部長〟のイメージとかけ離れ過ぎていて、ちょっと笑ってしまった岳斗だ。

 何にせよ、いつもなら法忍(ほうにん)仁子(じんこ)と荒木羽理が手分けしてこなしている仕事の大半を法忍(ほうにん)さん一人に任せてしまったため、今日は岳斗もそのサポートで結構大変だったのだ。
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