あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
杏子の言葉を聞いた岳斗は、『もしかしてそれって……』と思う。つい最近見合い話を断った土恵商事の人間と言われたら、一人しか思い浮かばなかったからだ。
「……ひょっとして相手の男性って、うちの総務部長だったりする……?」
その問い掛けに、杏子はちょっとだけ考えて、「どこの、だったかは覚えてないんですけど……部長さんなことは確かです。……社長さんの甥っ子の……」と答えて、何かを思い出したのか辛そうに眉根を寄せる。
岳斗は〝社長の甥っ子〟という言葉を聞いて、杏子の見合い相手は自分の思った通り屋久蓑大葉だったのだと確信した。
「うちの実家、土井さんのご自宅と近所で……。私が幼くして母を亡くしたのを不憫に思って下さったのかも知れません。小さい頃は土井さん宅によくお呼ばれして……その……今回お見合いを断られてしまった甥っ子さんや、彼のお姉さんたちとよく遊んだんです」
見合い相手が大葉だったことに奇縁を感じて軽く驚いていた岳斗は、杏子が何気なく語った言葉に小さく息を呑んだ。
「杏子ちゃん、お母さんいないの?」
どこか探るような顔つきになってしまっていたからかも知れない。「あ、はい」と答えた杏子が、「でもっ」と即座に付け加える。
「でもっ。母が亡くなったのは私が二歳の頃だったのでほとんど覚えていないんです。だからそんなに悲観的には感じてなくて……むしろそのぶん父が頑張ってくれたので、幸せな幼少期だったと思います」
「……ひょっとして相手の男性って、うちの総務部長だったりする……?」
その問い掛けに、杏子はちょっとだけ考えて、「どこの、だったかは覚えてないんですけど……部長さんなことは確かです。……社長さんの甥っ子の……」と答えて、何かを思い出したのか辛そうに眉根を寄せる。
岳斗は〝社長の甥っ子〟という言葉を聞いて、杏子の見合い相手は自分の思った通り屋久蓑大葉だったのだと確信した。
「うちの実家、土井さんのご自宅と近所で……。私が幼くして母を亡くしたのを不憫に思って下さったのかも知れません。小さい頃は土井さん宅によくお呼ばれして……その……今回お見合いを断られてしまった甥っ子さんや、彼のお姉さんたちとよく遊んだんです」
見合い相手が大葉だったことに奇縁を感じて軽く驚いていた岳斗は、杏子が何気なく語った言葉に小さく息を呑んだ。
「杏子ちゃん、お母さんいないの?」
どこか探るような顔つきになってしまっていたからかも知れない。「あ、はい」と答えた杏子が、「でもっ」と即座に付け加える。
「でもっ。母が亡くなったのは私が二歳の頃だったのでほとんど覚えていないんです。だからそんなに悲観的には感じてなくて……むしろそのぶん父が頑張ってくれたので、幸せな幼少期だったと思います」