あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
「けど……逆に美住(みすみ)さんはドンくさいですよね!」

 ササオについて話していた時とは一転。ククッと嬉しげに取り巻きの一人が笑ったら、それに同調するようにもう一人も「それです。たった数段で足、捻挫して動けなくなっちゃうとか! どんだけ運動神経にぶいの!? って笑っちゃいました」と、あからさまに意地の悪い微笑みを浮かべる。

「安井さんの彼氏だって知っていながら笹尾さんに言い寄るとか……身の程知らずなことするからバチが当たったんでしょうね」

「けど、悪いことしたくせに被害者面(ひがいしゃづら)してわざとらしく足引きずって歩くの、見ててイライラしません?」

「分かるぅー!」

 取り巻きたちの言葉を満足そうに聞きながら、ヤスイが「けど……雄介(ゆうすけ)ったら自分が酷い目に遭わされたくせにあの女の怪我を気にするのよ。優しいのは彼の魅力だけど……彼女としては何かモヤモヤするのよねー」と眉根を寄せる。その芝居掛かった表情の作り方に、岳斗は物凄い嫌悪感を覚えた。それと同時、ササオ(あの男)ヤスイ(この女)という組み合わせはある意味お似合いだな……と納得する。

 小さく吐息を落とした岳斗は、そっとその場を離れた。

 ――こんなところに《《僕の》》可愛い杏子(あんず)ちゃんは相応(ふさわ)しくない。

 そう確信しながら。
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