あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
岳斗は正直、コノエ産業開発の内部がここまで腐っているとは思っていなかった。
ここに至るまでの道のりを思い返して、我知らず吐息が漏れる。いや正直なところ、それにも増して腹立たしさで腸が煮えくり返っている。
(ちょっと頭冷やした方がいいかな)
今のまま杏子の前へ姿を現したら、自分が物凄く醜い顔をしていそうな気がして、岳斗はたまたま目についたレストルームへ逃げ込んだ。
幸い中には誰もいなかったので、手洗い場で顔を軽く洗ってからいつも持ち歩いているハンカチで水気を拭うと、鏡に映る自分の顔を確認して、両手で顔を挟み込むようにして頬をぱちぱち叩いて気合いを入れ直す。そうしながら心の中で『よし!』とつぶやいて、鏡の中の自分へ向けてニコッと微笑む練習をしてから、そこをあとにした。
目指す経理課はトイレとは目と鼻の先。斜め前方に見えた。
(あ。あいつら……)
と、岳斗が見詰める先、先ほど給湯室でくだらない噂話をしていた三人が経理課内へ入って行く後ろ姿が見えて、岳斗は思わず舌打ちしそうになる。『いけない、いけない』ともう一度深呼吸をして気持ちを落ち着け直した岳斗は、(こんな環境にいる杏子ちゃんは、きっと心が休まらないだろうな)と思って……。チクリと胸の奥を刺されたような気持ちになった。
だからこそ、せめて自分くらいはのほほんとした春風のような空気をまとって、そんな杏子と対峙したい。
***
岳斗が経理課の入り口へ立ったと同時、ちょうどこちら向きに席が配置されていた杏子と目が合って――。
岳斗は自分に気付いてソワソワと瞳を揺らせる杏子を落ち着かせるように、ふわりと微笑んでみせた。先ほど鏡で確認した通り、上手く笑えているはずだ。
ここに至るまでの道のりを思い返して、我知らず吐息が漏れる。いや正直なところ、それにも増して腹立たしさで腸が煮えくり返っている。
(ちょっと頭冷やした方がいいかな)
今のまま杏子の前へ姿を現したら、自分が物凄く醜い顔をしていそうな気がして、岳斗はたまたま目についたレストルームへ逃げ込んだ。
幸い中には誰もいなかったので、手洗い場で顔を軽く洗ってからいつも持ち歩いているハンカチで水気を拭うと、鏡に映る自分の顔を確認して、両手で顔を挟み込むようにして頬をぱちぱち叩いて気合いを入れ直す。そうしながら心の中で『よし!』とつぶやいて、鏡の中の自分へ向けてニコッと微笑む練習をしてから、そこをあとにした。
目指す経理課はトイレとは目と鼻の先。斜め前方に見えた。
(あ。あいつら……)
と、岳斗が見詰める先、先ほど給湯室でくだらない噂話をしていた三人が経理課内へ入って行く後ろ姿が見えて、岳斗は思わず舌打ちしそうになる。『いけない、いけない』ともう一度深呼吸をして気持ちを落ち着け直した岳斗は、(こんな環境にいる杏子ちゃんは、きっと心が休まらないだろうな)と思って……。チクリと胸の奥を刺されたような気持ちになった。
だからこそ、せめて自分くらいはのほほんとした春風のような空気をまとって、そんな杏子と対峙したい。
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岳斗が経理課の入り口へ立ったと同時、ちょうどこちら向きに席が配置されていた杏子と目が合って――。
岳斗は自分に気付いてソワソワと瞳を揺らせる杏子を落ち着かせるように、ふわりと微笑んでみせた。先ほど鏡で確認した通り、上手く笑えているはずだ。