あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
46.トレード
土井恵介に荒木羽理との関係を隠すつもりはないと宣言してから、屋久蓑大葉は羽理との同棲へ向けて本格的に動き出したのだが――。
色々見て回った結果、これ! という物件がなかなか見つけられないことに業を煮やした結果、一から作ろうという話になって、土地探しとハウスメーカーの選定を同時進行で進めることにした。
その絡みで、家が建つまでの仮措置。羽理は大葉が今現在住んでいるマンションへ移り住むことになった。
そうと決まれば善は急げ。仕事後などを利用して、羽理は段ボール詰めした荷物を、愛車コッペンに積んでちょっとずつちょっとずつ大葉の家へ持ち込み始めた。
だが残念なことにツーシートのコッペンは荷物が余り乗らない。地道に行き来すること数回になるが、まだまだアパートに残っている荷物の方が多い現状だ。それを見かねた大葉が、何度か愛車を出して手伝うと提案したのだが、何故か羽理は頑なにそれを拒むのだ。
三往復目を済ませたところで「あー、もう! 俺が金出すから業者を手配すんぞ! 手伝わせねぇならそのくらいさせろ!」とブチ切れた大葉が頼んだ引っ越し業者によって、今までの苦労は何だったの? というくらいアッサリと羽理の引っ越しは完了してしまった。
八畳ちょっとしかないリビングダイニングの片隅に積み上げられた羽理の荷物入り段ボール箱の中から、当面必要な物だけを厳選して荷ほどきすると、残りは大葉の実家にある使っていない部屋――元々は大葉の私室だった――に置かせてもらうことにした。
先程大葉の愛車エキュストレイルでそれらを運び終えて帰宅してきたばかり。
今月末で解約することになっている羽理のワンルームアパートからの荷運びはあんなに拒んだくせに、大葉の家から屋久蓑の実家への荷物の移動はやけにアッサリと「お願いします」と言われてしまって拍子抜けした大葉だ。
羽理と一緒にマンションへ戻ってきた大葉は、「夕飯は引っ越し蕎麦だな」と提案して、羽理から「変なところで古風ですよね」と笑われてしまった。
「あ、そうだ、これ」
今更だと思いながらも、大葉はずっと羽理に返しそびれていた居間猫神社のお守りの片割れをテーブルの上へ置いた。
「すっかり返し貰い損ねてましたね」
きっとそれがあったから、何度も何度も羽理のアパートとこことを裸でワープさせられたんだろう。
不思議現象の原因はこのキーホールダーのせいではないかと思いつつも羽理にこの片割れを返《《さ》》ずにいたのは、ひとえに羽理との不可思議な〝ご縁〟が切れるのがイヤだったからに他ならない。
だが、羽理がここへ越してきた以上、そんな御利益なんてもう必要ないのだ。
色々見て回った結果、これ! という物件がなかなか見つけられないことに業を煮やした結果、一から作ろうという話になって、土地探しとハウスメーカーの選定を同時進行で進めることにした。
その絡みで、家が建つまでの仮措置。羽理は大葉が今現在住んでいるマンションへ移り住むことになった。
そうと決まれば善は急げ。仕事後などを利用して、羽理は段ボール詰めした荷物を、愛車コッペンに積んでちょっとずつちょっとずつ大葉の家へ持ち込み始めた。
だが残念なことにツーシートのコッペンは荷物が余り乗らない。地道に行き来すること数回になるが、まだまだアパートに残っている荷物の方が多い現状だ。それを見かねた大葉が、何度か愛車を出して手伝うと提案したのだが、何故か羽理は頑なにそれを拒むのだ。
三往復目を済ませたところで「あー、もう! 俺が金出すから業者を手配すんぞ! 手伝わせねぇならそのくらいさせろ!」とブチ切れた大葉が頼んだ引っ越し業者によって、今までの苦労は何だったの? というくらいアッサリと羽理の引っ越しは完了してしまった。
八畳ちょっとしかないリビングダイニングの片隅に積み上げられた羽理の荷物入り段ボール箱の中から、当面必要な物だけを厳選して荷ほどきすると、残りは大葉の実家にある使っていない部屋――元々は大葉の私室だった――に置かせてもらうことにした。
先程大葉の愛車エキュストレイルでそれらを運び終えて帰宅してきたばかり。
今月末で解約することになっている羽理のワンルームアパートからの荷運びはあんなに拒んだくせに、大葉の家から屋久蓑の実家への荷物の移動はやけにアッサリと「お願いします」と言われてしまって拍子抜けした大葉だ。
羽理と一緒にマンションへ戻ってきた大葉は、「夕飯は引っ越し蕎麦だな」と提案して、羽理から「変なところで古風ですよね」と笑われてしまった。
「あ、そうだ、これ」
今更だと思いながらも、大葉はずっと羽理に返しそびれていた居間猫神社のお守りの片割れをテーブルの上へ置いた。
「すっかり返し貰い損ねてましたね」
きっとそれがあったから、何度も何度も羽理のアパートとこことを裸でワープさせられたんだろう。
不思議現象の原因はこのキーホールダーのせいではないかと思いつつも羽理にこの片割れを返《《さ》》ずにいたのは、ひとえに羽理との不可思議な〝ご縁〟が切れるのがイヤだったからに他ならない。
だが、羽理がここへ越してきた以上、そんな御利益なんてもう必要ないのだ。