深まり愛～彼は一途な想いを貫く～
職場近くで良さそうなレストランをスマホで検索していると、「中田さん」と呼ばれた。

声がした方に顔を向ける。そこには、高林遥香（たかばやしはるか）さんという入社三年目の二十五歳の女性がいた。

ふんわりボブでかわいらしい高林さんは、片手にコーヒーの入った紙コップを持っていた。

「隣、いいですか？」
「どうぞー。ご飯は食べました？」
「はい、ラーメンをササッと食べてきました」
「いいですね！　この辺りで、お夕飯におすすめのお店ありますか？」

高林さんはコーヒーをひと口飲んで、「んー」と唸った。

彼女は何かと気にかけてくれる明るい人なので、私としても話しやすい。

「昼も夜もやっている定食屋さんがあります。おしゃれなところが良ければ、駅近くにあるイタリアンレストランも美味しいですよ」
「どっちも気になります！　定食屋さんって、ここ？」

検索して出てきたお店の公式サイトを高林さんに見せる。

「そうです、ここ！　焼き魚が美味しいですよ」
「焼き魚かー」

焼き魚は好きだが、恭也の作る朝食でよく登場している。なので、定食屋への興味が薄れた。
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