原田くんの赤信号
悩みに悩んだ末、水玉模様が描かれているミントグリーン色のものを買った。原田くんは「それ、薄い青じゃない?」と首を傾げていた。
意外にも真剣に悩んでくれた原田くんは、「これがいいじゃん」とか「その柄は福井っぽくないな」とか、アドバイスもくれた。
なのにその都度、「本当に福井のところに行くの?」とか「やっぱり俺といようよ」だなんて、言ってきたりもした。
「わたしは福井くんのところに行くよ」と答えれば、落ち込まれた。
今日もやっぱり、原田くんは変な人だ。
さっきの話もあったせいか、赤色の包装紙を発見する度に、わたしの目は原田くんへと向けられた。
こんな女性だらけの店に勇気を出して入ってくれた彼にもチョコレートをあげようかな、と頭の隅でふと思う。無論、義理チョコだけど。
「ちょっとここで待ってて、原田くん」
だからわたしは店を出た後、トイレに行くと原田くんに告げ、赤い包装紙を購入した。赤はなぜかハート柄のものばかりが置いてあったけれど、無地のものを発見したから、それにした。
原田くん、喜んでくれるかな。なんて刹那思う。
包装紙とギフトボックス、そして肝心の製菓用チョコレートとデコレーションセット。全てを揃えたところで、腹の虫が騒ぎ出した。
昼の時間をとうに過ぎたイートインスペースでは、空席が目立っていた。
わたしはドーナツ、原田くんは湯気立つラーメンをテーブルに置く。
「いただきまーすっ」
「女子の買い物ってなげえのな……」
向かい側の席に着く原田くんがふうっと吐く溜め息は、だいぶ疲れさせてしまった証拠。付き合ってとわたしが頼んだわけではないけれど、一応お礼は言っておこう。
意外にも真剣に悩んでくれた原田くんは、「これがいいじゃん」とか「その柄は福井っぽくないな」とか、アドバイスもくれた。
なのにその都度、「本当に福井のところに行くの?」とか「やっぱり俺といようよ」だなんて、言ってきたりもした。
「わたしは福井くんのところに行くよ」と答えれば、落ち込まれた。
今日もやっぱり、原田くんは変な人だ。
さっきの話もあったせいか、赤色の包装紙を発見する度に、わたしの目は原田くんへと向けられた。
こんな女性だらけの店に勇気を出して入ってくれた彼にもチョコレートをあげようかな、と頭の隅でふと思う。無論、義理チョコだけど。
「ちょっとここで待ってて、原田くん」
だからわたしは店を出た後、トイレに行くと原田くんに告げ、赤い包装紙を購入した。赤はなぜかハート柄のものばかりが置いてあったけれど、無地のものを発見したから、それにした。
原田くん、喜んでくれるかな。なんて刹那思う。
包装紙とギフトボックス、そして肝心の製菓用チョコレートとデコレーションセット。全てを揃えたところで、腹の虫が騒ぎ出した。
昼の時間をとうに過ぎたイートインスペースでは、空席が目立っていた。
わたしはドーナツ、原田くんは湯気立つラーメンをテーブルに置く。
「いただきまーすっ」
「女子の買い物ってなげえのな……」
向かい側の席に着く原田くんがふうっと吐く溜め息は、だいぶ疲れさせてしまった証拠。付き合ってとわたしが頼んだわけではないけれど、一応お礼は言っておこう。