21トリソミー
「隼人くんは何て言ってるの?」

 口を閉ざした私に、母は話し続ける。

「……諦めた方がいいって」

「私も、そう思う」

 母までも、隼人の味方だった。

「……辛いだろうけどな、俺もそう思うよ」

 そして、父までも。私は本当に何をしに実家にやってきたのだろう。

「……みんなおかしいよ‼ 命なんだよ⁉ みんなは、命を殺せって言ってるんだよ⁉」

 誰にも分かってもらえない状況に、怒りと落胆が込み上げる。

「じゃあ香澄は、自分がダウン症でも生まれてきたかった? どうやって育てればいいの? 偏見や差別をされないか? とか、香澄は自分の心配ばかりしていない? 子どもの立場で考えた?」

「……え」

 母の指摘で頭に上り続けていた血が、ゆっくり下って行く。

 私は何の障害もなく、五体満足で生まれてきた。健常者として生きることは、私にとっては当然の生活。それを知っているから、「障がい者の立場で生きなさい」と言われたら抵抗がある。

 自分がダウン症でも生きたいか? ……そうは思わないかもしれない。
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