21トリソミー
「香澄、障がい者で生まれてくるなんて嫌だって思ったでしょ」

 母が私の心の中を見透かした。

「……最低な人間だよね」

「別にそうは思わいよ。私、この前テレビで見たんだけどね、障がい者の方々が出てた番組でね、『【障がいは不幸じゃない不便なだけ】【障がいは個性】なんて言う人もいるけど、それはただの綺麗事です。障がいがなく生まれてきたかったに決まってる。でも、どうにもならないから幸せに生きる方法をいつも探している。障がいに負けてたまるか。というより、負けたらいけない試合なんです。負けたら心が折れてしまう。だから私はいつも、心を強く持っている』って仰ってた方がいてね。やっぱりそれが本心だよね。ってその人に共感したの」

「その番組、見たい。録画した?」

 上っ面の感動だけを掬うのではなく、本音を曝け出しているだろうその人の言葉をもっと聞きたいと思った。

「イヤ、してない。関心があって見た番組ではあったけど、自分の生活に関わってくる問題だとは思ってなかったから録画までは……。でも、ネットで見れるんじゃない? 番組名忘れたけど」

「……探してみるよ」

 ヒントの少ない母の情報を頼りに、私はその番組を探し出せるのだろうか。
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