21トリソミー
「つまりね、障がいを持って生れたい人なんていないのよ。確かにね、障がいがあっても幸せに生きている人はいる。大切に大切に育てている立派な親御さんもいる。でもね、そういう方々はしっかりとした覚悟と責任を持って生活をしているの。香澄みたいにギャーギャー騒いで、どうしようどうしようって、メソメソ泣いてないの」

「……だからって、この子を殺すなんて。だって、その障がい者の方は前を向いて強く生きているわけでしょう? この子だって……」

 お腹に手を当て、愛着しかない我が子を掌で感じる。

「産まれてから障がいが分かるパターンもあるじゃない。覚悟するしかない場合だってあるじゃない。そうなった時、本人や親御さんがすんなり覚悟を決められたと思う? すんなり受け入れられる人もいるとは思うけど、それは稀だと思う。多くの人は自分を納得させるために、たくさん悩んで、多くのご苦労があったと思う。香澄の場合、今なら引き返せる」

「【引き返せる】って、そんな酷い言い方しないで‼」

 この子を無かったことにしろと言うのか⁉ と母に喰ってかかる。
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