21トリソミー
 気分を少しでも軽くしたくて両親に会いに来たのに、両親の辛そうな顔を見て、どうしようもない現実へのやり場のない怒りの矛先が全部自分に向かってきてしまった。

「ありがとうね、お母さん。じゃあ、お風呂入ってくる」

 本当は母の胸で泣きたい。でも、母の意見を心が拒絶している。だから、ここでは泣けない。

 込み上げる涙を、奥歯を噛みしめながら堪え、小走りでお風呂へ向かう。

 服を脱ぎ捨てシャワーを浴び、

「わぁぁぁぁぁぁ」

 声を上げて号泣。多分、シャワーの音では掻き消せてはいないだろう。

【声を殺す】などという作業に使える神経は、破綻していた。

 この子は産まない方がいいの? 殺していいの? どうしてこの子に染色体異常があるの? 私の何がそんなにいけなかったの?

 悲憤でしかない疑問文が脳の全てを占拠する。
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