【短編】純恋
あたしがこの気持ちに気づいたのはほんの3週間前。

その前まではヤなやつだと思っていた。

けど、3週間前にタケが学校を休んだ。

1年生の時から休んだ事がないのに、休むなんて珍しい。

明日は雪がふるんじゃないのとか言って笑っていた。

でも…自分の心の中にポッカリと穴の開いた感じがしたんだ。

邪魔者がいなくなってよかったはずなのに…。

1日、ボーッと過ごしていた。

今その日をふりかえると、皮だけのチェリーを思い出す。

その日の帰り、手紙をタケの家に届けに行く事になった。

タケの家の周りに同じ学年の人は住んでなくて、仕方なく届ける…というのは建前。

本当はタケに会いたくて仕方なかったんだと思う。

家のインターホンを鳴らす前…

すごくドキドキした。

あたしは前から恋愛物のマンガや小説が好きだったせいか、これは恋だってすぐに分かった。

この事は美希にしか言っていない。他の人には絶対に内緒。

あたしの学校の6年は、本当に口の軽くて情報通な人が多い。

そんな環境の中で言ったらスクープにされちゃいそう。

うちらははたから見たら犬猿の仲。

それが片思いだなんて…。
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