旅先恋愛~一夜の秘め事~
彼は最初から一貫して、ずっと私を大切にしてくれていたのに。


一度だって私を傷つけも、嘘もつかなかった。

突然京都を去った私を捜してくれもした。

勝手に怖がって自己完結して、逃げたのは私だった。

まるでなにかの被害者のように泣いて、自分が身を引けばいいと、できもしない自己犠牲の方法を選択しようとした。

傷つきたくなくて、自分の心と向き合うのを避けた。

なにもわかっておらず、最低なのは私だ。


「……暁さんのそばにいたい。どうしてもあの人が好き」


胸の奥から湧き上がる恋情を抑えきれず、涙が溢れた。


「やっと、わかったのね。よかった」


「うん……振り回して心配かけてごめんね。私、帰って暁さんときちんと話し合うわ」


「そうね。この際だから今まで溜めていたもの全部吐き出してきなさい。よし、じゃあ行こうか」


そう言って、素早く立ち上がった麗は再びスマートフォンでなにやら操作する。


「麗?」


「もうすぐ十時になるし、送っていくわ」


「大丈夫、タクシーで帰るから。麗の家の前には大きな道路があるし、すぐ乗れると思うから」


夜遅くに散々迷惑をかけたし、これ以上は忍びない。


「なに言ってるの。妊娠中の大事なハトコをひとりでこんな時間に帰せないわ」


腰に手を当てて、私を軽く睨む。


「心配してくれるのは有難いけど、大人なんだからひとりで平気よ。麗は明日も仕事でしょ?」


私の返答に、なぜかスマートフォンを確認していた麗が小さく息を吐く。
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