旅先恋愛~一夜の秘め事~
「残念ですわ。娘は椿森副社長にお会いできる日をいつも楽しみにしておりますの。大切なお話がございまして、近々御社にお伺いしようと思っていたんです」
「どういったお話でしょう?」
「私たちの将来に関するものですわ!」
嬉々として会話に加わりながら、令嬢が私に厳しい目を向ける。
彼女の視線が絡められた指に注がれているのに気づき、解こうとするが暁さんは離さない。
「椿森副社長、そちらの女性はどなたでしょう?」
口元だけに笑みを浮かべた母親が、私をちらりと見る。
「私の大事な女性です」
端的に答えた彼に、古越母娘は目を大きく見開いた。
「それは……具体的にどういうご関係ですか?」
「言葉通りの意味ですよ」
相好を崩した彼がきっぱりと言い切る。
「申し訳ありませんが急いでいますので失礼します」
「お待ち下さい。それほど大切な方でしたら、是非正式にご紹介いただきたいですわ」
食い下がる母娘に、暁さんが小さく息を吐く。
その姿に私は慌てて口を開いた。
「は、はじめまして、綿貫唯花と申します」
「泉製薬の古越と申します。失礼ですが、綿貫さんは椿森副社長とどこでお知り合いに?」
聞き覚えのある大企業名に目眩がしそうになる。
自信満々な態度もしかり、きっと経営者一族なのだろう。
しかも令嬢は私をずっと睨んでいる。
「どういったお話でしょう?」
「私たちの将来に関するものですわ!」
嬉々として会話に加わりながら、令嬢が私に厳しい目を向ける。
彼女の視線が絡められた指に注がれているのに気づき、解こうとするが暁さんは離さない。
「椿森副社長、そちらの女性はどなたでしょう?」
口元だけに笑みを浮かべた母親が、私をちらりと見る。
「私の大事な女性です」
端的に答えた彼に、古越母娘は目を大きく見開いた。
「それは……具体的にどういうご関係ですか?」
「言葉通りの意味ですよ」
相好を崩した彼がきっぱりと言い切る。
「申し訳ありませんが急いでいますので失礼します」
「お待ち下さい。それほど大切な方でしたら、是非正式にご紹介いただきたいですわ」
食い下がる母娘に、暁さんが小さく息を吐く。
その姿に私は慌てて口を開いた。
「は、はじめまして、綿貫唯花と申します」
「泉製薬の古越と申します。失礼ですが、綿貫さんは椿森副社長とどこでお知り合いに?」
聞き覚えのある大企業名に目眩がしそうになる。
自信満々な態度もしかり、きっと経営者一族なのだろう。
しかも令嬢は私をずっと睨んでいる。