クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
冷静になればさすがにすぐにため口の呼び捨てはハードルが高すぎる。

そう思うのに、私をジッと見据えたまま凛久さんは何も言わない。

「いんですか? 年下の私なんかがそんな口を聞いて」
そう尋ねれば、彼からは意外な言葉が返ってきた。

「昔から、俺のステイタスばかりで、周りの大人すら敬語だった。それが壁を感じていつも孤独だった」
その告白に私はハッとする。確かに帝王学を叩きこまれ、後継者として生きてきた彼の周りは、そんな大人がたくさんいたのだろう。

「だから、初めて店で話した時、一人のただの人間として瑠璃が接してくれたことがとても嬉しかった。だから、もっと瑠璃を近くに感じたい。俺の一番近い人だと思いたいんだ」

紡がれるその話に、私は目の前の彼の頬に触れる。お金が無くなり、いつも貧しかったが、私の周りはいつも笑顔が溢れていたし、幸せだった。
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