どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
実は社長室は、入社してから一度も近づいたことがない。
決して降りてはいけない22階。
禁断の社長室。
秘書課の美人な人たちだけが入れる場所。
翌朝、吉岡先輩と佐竹さんが、仲良く笑っていた。
「おはようございます」
「あ~、これ、仙台のお土産だって。牛タンせんべい」
「あ、社長から?」
「え?社長?いや、部長だよ」
圭史さんと一緒に出張に行っていた上司からのお土産。
昨日、圭史さんからは、家族で食べてと牛タンのお土産をもらった。
「食べよ~」
「はい」
吉岡先輩と佐竹さんに、あれから何かあったのかわからないけど、自然な雰囲気に戻っていて一安心。
圭史さんもきっと部長のように、あの美人秘書軍団にたくさんのお土産を買ってきたんだろうな。
でも、昨日圭史さんからもらった言葉は、私の宝物になった。
『本当の俺はここにいる。社長でもないただの俺は、万由の前にだけいる』
嫉妬しちゃった時に、私を救ってくれる言葉。
本当に時間が経つごとに体と心に染み込んでくる。
私の前にいる圭史さんだけが本当の圭史さんなんだ。