大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
 だが、そこで、咲子は、ハッとする。

 待てよ……。

「まだ結婚してないから、邪魔な妻じゃないので殺されないってことは。
 妻になったら殺される!?」

 咲子はつい、声に出して言っていた。

「……落ち着け」

 まあ、落ち着いて茶でも飲め、と行正に言われたが、さっきからずっと毒殺の話をしていたので、つい、

「……そのお茶は嫌です」
と言ってしまう。

「おい、入れ替えてやれ」
と行正がハツに命じたので、咲子は慌てて言った。

「あっ、すみませんっ。
 つい反射でっ。

 大丈夫ですっ」

 わざわざ入れ替えさせるのも悪いと思い、さっき抹茶を毒と思いながらあおったときのように煎茶をあおる。

 普通に美味しかった。
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