大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
 ルイスが見える場所から離れた咲子たちは、行正の従姉妹たちと出会った。

 まだ幼い彼女らに咲子はずいぶんと懐かれた。

「行正のお嫁さん綺麗っ」

 その子たちの母親が微笑んで言う。

「この子たち、行正さんとのお披露目パーティのときから、ずっと咲子さんに憧れてるの」

「そう、咲子さまのファンなの」
「ファンなの」
と子どもたちが口々に言った。

 行正が横で、
「何故、俺は呼び捨てで、咲子は『さま』呼びなんだ……?」
と呟いている。

 いやまあ、この子たち、行正さんの身内ですからね~と咲子が苦笑いしていると、その子たちの友だちやその姉たちまで寄ってきた。

 姉たちは咲子たちより少し年下、くらいの感じだった。

「咲子さま、ほんとうに素敵ですわ」

「そうして、淡い色のドレスをお召しになっていると、まるで、西洋の妖精かなにかのよう。

 さすが、行正さまと結婚されるほどの方ですわっ」

 憧れに満ちた眼差しで、年下の少女たちから見られて、咲子は背中の辺りがむずがゆくなる。

 側を通りかかった文子がいつもの静かな毒舌で、ボソリと、

「まあ、しゃべらなければ……」
と言ってくれて、かえってホッとした。
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