大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
 ちょっと怖いし、厳しいけど。

 行正さん以上に素敵な人なんて、きっとこの世にいませんしね、と。

 室内ではちょうどシェフが炎を使って目の前でデザートを作る珍しいサービスをしていたので。

 みんなそちらに注目していて、まだ、誰も文子たちのことには気づいていなかった。

 ルイスが強引に文子を連れて行こうとしたが。

 着物姿の文子はルイスのように大股では歩けないので、よろける。

 そんな文子をルイスが支えた。

 金髪碧眼で美形のルイスと着物姿の日本的で愛らしい文子。

「……素敵ですね」
とそんな場合ではないのに、咲子は、うっとりと見惚(みほ)れてしまったが。

 行正は、さっさと外に行こうとする。

「みんなに見つからないうちに止めてくる」

 ええっ? 止めるんですかっ? と言いながら、咲子も行正について庭に下りた。


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