大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
 なんだかんだで人のいい行正は、ルイスが可哀想になってきたらしく、

「……わかった」
と頷いた。

「なにか困ったことがあったら、うちに連絡を」
と行正は家の電話番号をルイスに告げていた。

 電話番号と言っても、のちのCMで、『電話は二番』と歌われていたように。
 この頃の電話番号はとても短かったので、口頭でも簡単に伝えられ、相手も覚えられた。

「わかりました。
 ありがとうございます」
とルイスは頷く。

「行きましょう、文子さんっ」

「えっ?
 あ、はい、そうですね、先生」

 ふたりは咲子と行正に礼を言い、そっと庭を出て行った。
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