大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
 使用人は、数だけそろえばいいというものではない。

 下働きなどせずとも、他にいい職もある昨今、信頼できる使用人を探すのは大変だ。

 ところが、行正は咲子を見下ろし、
「使用人?
 いるのか?」
と言い出した。

 ええっ? と咲子は驚く。

 あなたは私にこの家の仕事をすべてをさせるつもりだったのですかっ?

 家の中のことは頑張れても、庭の剪定(せんてい)まではできませんよっ。

 ……いや、待てよ。
 学べばなんとかっ、
と妙なところで根性のある咲子は、帰って庭師の人に習う覚悟を決めていた。

「そうか……。
 いるよな」

 玄関ホールを一際、明るくしている、天井付近に並ぶ丸窓を見て行正が呟く。
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