青い星を君に捧げる【零】
棚に入っていたトレーナーは彼のサイズのようで、明らかにダボダボだった。貸してもらってるものだし、文句は言えないけれど。


夜だし、佑真は寝ているだろうと静かに髪をドライヤーで乾かし先ほどの部屋に戻る。そこには一回起きて着替えたのか、さっきとは違う部屋着をきた彼が眠っていた。


私は寝室だと教えてくれた部屋から一枚毛布を持ってくると、佑真にそっとかけてあげた。暖かくなって気持ちがいいのかふわりと口元が笑って彼は毛布に潜り込んだ。


「ふふ、かわいい」


しばらくぼーっと半分隠れた顔を見ていたけれど、明日のために少しでも寝ようと私は部屋を後にした。


𓂃◌𓈒𓐍

朝……といってもベッドに入ってから数時間しか経っていないけれど。佑真が起きる前にここを去るつもりだったから、二時間ほどで目を覚ました。


身支度をして、お世話になった部屋を片付ける。そしてふと目に入った本棚は半分開いていて、どんな本を読むのだろうと気になって少し覗く。


「わあ……意外に真面目なのね」


有名な文豪から最近話題の作家まで幅広い本が鎮座している。そしてある一角にパンフレットが多く積み重なっていた。1番上にはピアノのコンサートのものが。音楽にも興味があるのかな。
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