青い星を君に捧げる【零】
「これで百合は孤独じゃない。きっとこれから楽しくなります」

それを聞いて私は溢れかけた本音を飲み込んだ。

私の本当の名前、聞いてほしい。

彼の唇からちゃんと呼んでほしい。震える手でじょうろを地面に置いた。

「俺ね、いつか田舎でこうやって奥さんと野菜作って……のどかな生活がしたいんだ」


佑真が朝顔のツルのために苗の近くに棒を固定する。彼が思い描く将来、畑で汗を拭いながら農作業する絵は容易に想像できた。


暴走族のトップをしていると言うけれど、今の佑真の雰囲気からはそんなの想像できない。それほど彼は穏やかで優しい人だから。


「その時に隣にいるのはあなたであってほしい」


「口説いてるの」


「好きだって言ったじゃないですか〜!」


足元で働く数匹のアリを私は見つめていた。こんなところに迷い込んでかわいそうに。


「……私は本郷家に囚われてる。」


夏の虫の合唱だけがその場に響く。ずっと下を向いていた私のそばに気づかないうちに佑真はいた。


「ねえ、波瑠さん……」


「ん?」


肩から伝わる居心地のいい温もり。そう、これは間違いなく彼のもの。

「波瑠さんはちゃんと夢はある?」


「夢……か。そんなの考えたこともなかった」
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