恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 その後、起きてお昼ご飯を食べると、熱も下がって大分体調が良くなった。
 歩は一条くんが買ってくれた図鑑が届いて、早速リビングで読んでいる。
 こんなにゆっくり過ごしたのはいつ以来だろう。
 一条くんには感謝してもしきれない。
 このマンションは5LDKと見たこともないくらい広くて、普段大人しい歩がいつになくはしゃいでいる。
 それに、一条くんに助けられたこともあって、彼を慕っているようだ。
 結構人見知りなのに珍しい。
 歩が本に夢中になってる間、志乃さんと一条くんの話をした。
「絢斗さんはとても可哀想な子でした。ご両親が彼と一緒にいることはほとんどなくて……。私がお育てしましたが、ご両親の愛に飢えていたと思います」
 彼女の話にゆっくりと相槌を打つ。
「そうなんですね。私も親の愛情を知りません。私も歩も私生児で、母は育児放棄というか、子供よりも恋人を大事にする人でした。もう母は死んで、歩とふたりだけになりましたけど」
「苦労されたのね。だから、絢斗さんがあんなに優しい目であなたたちを見ているのね」
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