恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 私……考えてみたら何度も彼に救われている。
「うん。トラウマになっちゃった。でも、あの時はありがと」
「たまたまそばにいてよかったよ」
 優しく微笑む一条くんを見てトクンと胸が高鳴る。
「それにしてもそのカメラ、本格的だね。プロみたい」
 一条くんがじっと見つめてくるものだから照れ隠しにそんなことを口にしたら、彼は歩にちらりと目を向けた。
「写真撮るの好きなんだ。風景とか植物しか撮ってなかったけど、人を撮るのも楽しい」
 今なら歩もジンベエザメに夢中だし、この和やかな雰囲気なら聞けそう。
「あの……ずっと気になってたんだけど、この水族館貸し切り?」
 週末なのにお客さんがいないなんて普通はありえない。
 思い切って確認すると、彼はすんなり認めた。
「まあね。でも閉館後に借りただけだから」
 だから、お金のことは気にするなと言いたいのだろう。
 でも、一条くんの家にお世話になってから、彼はいろんなものを歩に買っている。
 
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