恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 弟はあまり夜泣きもしなあったし、病気もあまりしなかったから育てやすい方だったけれど、それでもやはり仕事と子育てを両立させるのは大変だった。
 叔父さんや咲、木村くんの支えがなかったらどうなっていただろう。
 なんだかずっと百メートル走をしている感じだったけれど、ここ数日は一条くんのお陰で保育園の時間を気にせずに仕事ができている。
 彼のお手伝いの志乃さんも優しい人で日中歩を見てくれているから安心だ。
 二十分ほどで上がり、藤色の綺麗な浴衣を着て女湯を出ると、一条くんと歩もちょうど上がったところだった。
 男性陣の浴衣はカーキ色で、なんだかシック。
「一条くんどこかの若旦那みたい」
 思わずなにも考えずに褒めたら、一条くんも私をまじまじと見て「美鈴もすごく綺麗だよ」と褒めた。
 お世辞とわかっているのにボッと顔が火がついたように熱くなる。
「美鈴、お姫さまみたい」
 歩も褒めてくれて、私も弟ににっこり微笑んだ。

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