恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
とても楽しい時間。
 歩は車の移動の疲れもあってか、夕食を食べ終わると、テレビを見ながらうとうとしだした。
 部屋の掛け時計を見ると、午後十時を回っている。
「もうこんな時間。そりゃあ眠くなるよね。歩……!」
 弟に声をかけようとしたら、一条くんが歩を抱き上げた。
「いいよ。俺がベッドに運ぶ」
 こういう時、男手があるっていいって思える。
 最近、歩は大きくなってきたから、もう私では抱き上げて運ぶのが難しい。
 一条くんがベッドに運ぶが、歩が一条くんの浴衣を掴んでいて離さない。
「すっかり懐かれちゃったね」
 私が小声で言ってふふっと笑うと、一条くんはベッドに横になり枕に片肘をつきながら弟を見つめた。
「だといいけど」
 私も歩の隣に横になり、弟の頬を撫でる。
「一条くんと暮らすようになって歩、子供らしい表情をいっぱいするようになったの。わがままとか一切言わない子でね。私になにが欲しいってお強請りすることもなくて……。いっぱい我慢させてたんだろうな」

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