恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
「落ち着いて。もう大丈夫だよ」
 ギュッと彼に抱きついて息を整える。
 しばらくしてパニックがおさまると、今の状況に気づいてハッとした。
 私……今、裸で彼と抱き合ってる!
「どうしてお風呂で溺れたの?」
 彼に理由を聞かれ、つっかえながら答える。
「つ、ついうとうとしちゃって」
「上がるのが遅いから様子を見に来て正解だったよ」
「ご、ごめんなさい! あの……もう大丈夫だから。もう戻ってくれてい……いいよ」
 絢斗の胸に手を置いて離れようとするが、彼は私の腰に手を回して身体を密着させる。
「嫌だって言ったら?」
「い、一条くんが濡ちゃう」
 とりあえず頭に浮かんだことを口にすると、彼はクスッと笑った。
「もう濡れてる。それより美鈴、また呼び方が『一条くん』に戻ってる』
「だって……頭が混乱して……」
 この状況でどう彼と接すればいいのかわからない。
「美鈴、こっち見て」
 絢斗が私の顎をクイと持ち上げて目を合わせる。
 
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