恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 そんな彼女を抱きしめて眠るのが俺の日課になりつつあったが、決して彼女に欲情しないというわけではない。
 最悪な形で再会はしたが、彼女のことは元々尊敬していたし、今は異性として惹かれている。その彼女と一緒に寝ているのだから、抱きたいという気持ちが日々募る。
 理性でそれを押さえてきたが、やはり美鈴に触れたくて堪らない。
 だが、やはり彼女の気持ちも大事だ。
 美鈴が俺に少なからず好意を持っているのは、彼女の態度でわかる。
 だが、たまに距離を置かれる感じがして、それが気に入らないというか、ずっとこの手で捕まえていないと次の瞬間には消えてしまうんじゃないかと不安になる。
 彼女の心のストッパーを取るには、俺に少しずつ慣れさせるしかない。
「い、一条くんが濡ちゃう」
 美鈴がつっかえながらそんな返答をするので、かわいくて笑ってしまった。
 かなりテンパっているんだろうな。
 俺の顔を見ようとしない。
「もう濡れてる。それより美鈴、また呼び方が『一条くん』に戻ってる」

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