恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
「私は……うん、そうだね。絢斗が好きだよ」
 もう自分にも嘘をつけないし、弟にも嘘をつけないと思った。
 分不相応と思って何度も自分の気持ちを受け入れることができなかったけど、どんなに否定しても彼が好きなのだ。
 だから、絢斗がキスしても抵抗せずに受け入れる。
「僕にはわかる。絢斗も美鈴が好きだよ」
 まるで絢斗の心を読めるかのように自信満々で言う弟。
「そうだといいけど」
 戸惑いながら笑う私の頭を弟は撫でた。
「美鈴、我慢しなくていいんだよ」
 なにを?とは聞けなかった。
 弟は時々こちらがビックリするくらい大人な発言をする。
 見た目は子供で中身が達観したおじいちゃんのような時が度々あるのだ。
「ありがと、歩。たまに歩がお兄ちゃんに思える時があるよ」
 私の言葉を真似て歩が言う。
「うん。僕もたまに美鈴が妹に思える時があるよ」
 お互いふふっと笑い合うと、弟に告げた。
「おやすみ、歩」
「うん。おやすみ」
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