恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 歩が絢斗がプレゼントしたくまのぬいぐるみを抱いて目を閉じると、弟の額にチュッとキスをして寝室を出る。
 歩が絢斗の話をしたということは私にちゃんと自分の気持ちに向き合えと言いたいのかもしれない。
 恋をしろって……。
 今までずっと絢斗への思いを封印していたように思う。
 恋愛なんて私にはしている暇などなかったから。
 夢を見る前に現実が迫ってくる。
 私が子供の時はずっと食パンだけ食べて生活していた時だってあった。
 明日食べる物があるだろうか。
 そんな不安を抱えて生きてきた。
 今だって貧乏だけど、食べ物に困るほどではない。
 それに、神様が私にチャンスをくれたのか、絢斗のそばにいる。
 自分に素直になろう。
 そんなことを思いながら入浴を済ませると、バスローブ姿でキッチンに行き、水を飲む。
 喉が潤うとリビングに移動し、ソファに腰掛け、夜のニュースを見た。
 時刻は十二時五分を回ったところ。
 ベッドで寝ようとも思ったけれど、落ち着かなくて絢斗が帰宅するのを待つことにしたのだ。
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