恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
ハハッと笑うが顔が強張る。
 なんだか気まずい。この時間、いつまで続くんだろう。
「あんな小さな弟もいて大変よね」
 私を憐れむ彼女を見て、胸がチクッとした。
 昔も同級生にこんな風に言われたなあ。
『家が貧乏で大変よね』とか『お父さんいないんだ。可哀想』とか……。
 結局、自分が上流階級の人間だと言いたいのだろう。
 彼女の父親は確か有名な建築家だった。
「弟はとてもいい子だから別に大変じゃないよ」
 私と歩は誰よりも頑張って生きてきた。
 峯岸さんの目を真っ直ぐに見て言うが、彼女にとっては些細な話だったようですぐに話を変えられた。
「一条くんは家族みたいなものって言ってたけど、あなたと一条くんは付き合ってるの?」
 彼女が関心があるのは私ではなく絢斗。
「ええ、付き合っています」
 認めればきっと嫌味のひとつでも言われるとわかっていたが、誤魔化さずに認めた。
 すると、最初はにこやかだった彼女の顔が豹変した。

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