恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
フッと微笑して絢斗がスタスタと石段を登っていく。
「いつも言ってるだろ? 俺がそばにいるんだから頼ってよ」
「うん。……ありがと」
 石段を登り切ると、絢斗が私の着物を直した。
「絢斗って細身なのに力持ちだね」
「美鈴軽いし、俺は男だから」
私にそう言葉をかける絢斗に歩が羨望の眼差しを向ける。
「僕も絢斗みたいに大きくなりたいな」
「歩、家に来て背大きくなったよ。これからいっぱい食べればもっと大きくなる」
絢斗がそう言うと、弟は彼の目を見て明るく返事をする。
「うん」
 神社は参拝客でいっぱいだったが、二十分ほどで参拝の順番が回ってきた。
 賽銭を投げ、三人並んで参拝する。
 みんなが幸せでありますように――。
 参拝を済ませると、お守りを買って、おみくじを引いた。
 歩はくじに強くて今年も大吉。
「歩、今年も絶好調だって。学業も絶好調。相変わらず強運だね」
 歩のおみくじを見て驚きの声をあげていたら、絢斗が私に目を向けた。
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