恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
 絢斗はしゃがんで歩の両肩に手を置く。
「僕と一緒にいてくれるってことだよね? 僕、一条歩になるよ。絢斗の子になりたい」
 絢斗を真っ直ぐに見据えて弟は自分の気持ちを伝える。
「全力で歩を守るよ」
 絢斗が歩を優しく抱きしめる。
「うん」
 歩は小さく頷いて絢斗のコートをギュッと掴んだ。
 ふたりの姿を見て涙が出てくる。
 ああ、ついに歩にパパができるんだ。
 私には父はいなかったけど……。
 血が繋がっていなくても、愛があればそれで幸せになれる。
 涙で視界がぼやける。
 そんな私を絢斗がいつの間にか立ち上がって抱き寄せ、指で涙を拭った。
「美鈴は泣き虫だな」
「絢斗が……優しすぎるから……だよ」
 歩がいるのに涙を止められなかった。
「ごめんね。でも、これからもっと優しくするから」
 絢斗が私の頭を撫でながらそう言葉をかければ、歩も私の着物を掴んで約束した。
「僕も早く大きくなって美鈴を守れるようにする」
 私って……幸せ者だね。
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