恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
絢斗に聞かれ少し苦笑いしながら答える。
「秀さんが絢斗のおじいさまと知って驚いたけどね」
「人ってどこで繋がっているのかわからないな」
「まだ今どこか夢見心地。寝て起きたらアパートだったらどうしよう」
 今がすごく幸せで時々不安になる。
「アパートは解約しちゃったし、もう美鈴の家はここしかないよ」
 絢斗が私の肩を掴んで抱き寄せる。
 身体に感じる彼の温もりは本物。
「うん」
 絢斗の背中に腕を回して頷くと、彼が身を屈めて私の唇にキスを落とす。
 思いやりに満ちたキスに心が温かくなる。
 彼の口づけで、これは現実だって実感できた。

「どう、美味しい?」
 できたばかりのブラウニーを歩に味見してもらう。
「うん。お店のみたいに美味しい。絢斗もきっと美味しいって言うよ」
 ブラウニーを食べて弟がにっこりする。
 今日は二月十四日、バレンタインデー。
 歩と夕飯を食べた後、ブラウニーを作った。
 絢斗は今日は接待で遅くなる。
 本当は昨日の夜作るはずだったが、ついうっかり材料の一部を買い忘れてしまったのだ。
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