恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
「うん。初めてにしてはうまくできた」
 クスッと笑って食べるが、夜中にひとりで食べるのはちょっと虚しい。
 日付もいつの間にか十五日に変わっている。
 もう一切れ口に入れたら、玄関のドアが開く音がした。
 あっ、絢斗が帰ってきた!
 慌ててゴクッと飲み込んだら、喉に詰まってむせた。
 く、苦しい。
 コップに水を注ぎ、ゴクゴク飲んで苦しいのは収まったが、まだブラウニーは残っている。
 とりあえず、再び封をして冷蔵庫に入れようとしたら、キッチンに絢斗が現れた。
「なにやってんの?」
「お、お帰り。なんでもないよ」
 咄嗟にブラウニーを後ろに隠して絢斗に目を向けるが、彼は私に近づいでじっと見据える。
「咳き込んでなかった?」
「あ、ああ。ちょっとね。だから水飲んでた」
「家の中が甘い匂いがするのは?」
「歩がお菓子食べたからかなあ?」
 絢斗が納得するような言い訳を口にするが目が泳ぐ。
「ふーん、じゃあ、美鈴の口にチョコみたいなのがついてるのは?」
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