恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
仕方がないのでベッドに端に腰掛け、自分が水を一口飲むと、口移しで彼女に飲ませる。
 彼女の唇があまりに柔らかくて驚いた。
 美鈴がゴクッと水を飲み込むが、少し溢れて彼女の首を濡らす。
 その様子がひどく艶かしくて、思わず見入っていたら、彼女が急に俺の背中に腕を回してきた。
『美鈴……ちょっ!』
 意外に彼女の力が強くてバランスを崩し、ベッドに倒れ込んだ。
 美鈴が俺をホールドして離さない。
 それどころか俺を包み込むように抱きしめてきて……。
『歩……もっとこっちにおいで。風邪引いちゃう……よ』
 とても優しい声だった。
 だが、それは俺に向けられたものではない。
 歩……。
 その男のためにレンタル彼女なんてやっているのだろうか。
 今日彼女は、俺に触れられただけで狼狽えていた。
 そんな彼女が自分から進んでレンタル彼女をやっているようには見えない。
 男に命じられて仕方なくやっているとか?
 そう思ったら、歩という男が憎くなった。
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