目の上の義母(たんこぶ)
「わたし…、さっき手術してきたんだ」


自分でも驚いたけど、翔平にも打ち明けられなかったことを、晴馬には話していた。


「…手術?どこか悪いの…?」

「ううん。ここにね、赤ちゃんがいたんだけど…」


そこまで言うと、また涙がじわりと溢れ出して喉が詰まった。


「…そっか。それ以上、なにも言わなくていいから。…辛かったな」


晴馬の言葉に、わたしは涙をこらえながらゆっくりと頷いたのだった。



そのあと、車内には会話はなかった。

だけど、べつに気まずいという雰囲気でもなかった。


晴馬は、あえてわたしに言葉を求めていないだけ。

わたしは、気分を紛らわせるように、ただ車の窓から過ぎゆく風景を眺めるだけだった。



晴馬は無事にわたしを家まで送り届けると、改めて声かけるわけでもなく軽く手を上げ、そのまま行ってしまった。
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