目の上の義母(たんこぶ)
悲しみに沈む、クリスマス前の出来事だった。



思っていた以上に手術はあっという間に終わり、周りに気づかれないように涙を流しながら、わたしは家へと帰るのだった。


しかし、その途中――。


「…陽葵?」


歩道のすれ違いざまに、だれかに声をかけられた。


鼻までマフラーで隠し、目元を見られないように視線を移すと、そこにいたのは…。


「…晴馬」


なんと、2ヶ月前の同窓会以来の晴馬だった。


「あれ?もしかして、陽葵ってこの辺りに住んでるの?」

「あ…。う…うん」


…やばい。

泣き顔を見られそう…。


「そうなんだっ。俺は、この近くに友だちが住んでて、今その帰りで――」


と言いかけた晴馬が、そっとわたしの腕をつかんだ。


「…陽葵、ここで立ち話も冷えるだろ?ちょっとこいよ」


……えっ?


それだけ言うと、晴馬はわたしの返事も聞かずに腕を引っ張っていった。
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