処刑直前の姫に転生したみたいですが、料理家だったのでスローライフしながら国民の胃袋を掴んでいこうと思います。
「あぁ? まだ何もやってねぇのに休憩とかいらねえだろ」
それは確かにそうだ。でも欲しい魔力は1ミリもでてこないのに、何故か物凄く疲れるんです師匠。
「ここの世界の記憶がないんだ。すぐに出来なくてもしかたないさ。ほら、少し休憩しよう」
カウルも大丈夫かと肩をなでてくれた。
みんなのフォローに、フェンは余計にイライラとしたようだ。
「カウル! 今ここの責任者は俺だろ、勝手に決めるな。甘やかしすぎなんだよ!」
「フェンは厳しすぎだ。この娘が以前のリアではなく、別人というのはなんとなくわかってきてるだろう」
この間のおじさんに諭されて、フェンは口ごもった。
「俺達も休憩しよう」
カウルが声をかけると、「やったー」とみんなは喜んだ。そして期待に満ちた目をわたしに向けてきた。
「なぁゆづか! 今日もおやつ、あるんだろ?」
「もちろん!」
その言葉だけでわたしは元気がでる。
わたしは持って来ていたいくつかの籠を、みんなの前にどどんと置いた。