月下の恋人…missing
『光彦さん、眠っちゃいましたね。』
光にぃは高速に乗ってしばらくすると、私の肩にもたれてすやすやと寝息をたてていた。
『まゆちゃんに逢えてほっとしたんですね。きっと。昨日も寝てないみたいだし…』
昨日──────
お互いに嘘をついていつものように明るく振る舞って
隣同士の部屋で眠れずに過ごした雨の夜。
自分を攻めて
せめて身を引けば光にぃを苦しめずにすむんじゃないかと
自分の気持ちに泣きながら嘘をついたあの日。
光にぃはどんな気持ちであの夜を過ごしたのかな。
呆然とした光にぃの顔を思い出して心に暗い影が走る。
そんな私の表情を見てタケシさんは察したのか、優しい口調で続けた。