へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜



 ユネスは違う邪魔が入ったと、頬を膨らませながらそっとミアを地面に下ろすと、魔獣達はミアの頬を身体を確かめるように擦り付けたり、舐めたりしてくる。



「みんなぁ〜よく頑張ったね!!偉い!偉いよ〜!!」



 擽ったいのを堪えて、擦り寄ってくる魔獣達を撫で回す。どこにも怪我はないことに安堵すると、不思議と涙が滲んだ。

 寄り添うように真っ白の毛並みが身体に触れ、隣を見れば申し訳なさそうな顔をするフェンリルがいた。



『怪我はないようだな』


「フェンリル、大丈夫?」


『油断していた。すまなかった』



 やけに素直なフェンリルに驚きつつも、皆が無事なことが何よりも嬉しいミアは、そのモフモフに抱きついた。



「まったく、お前ら無茶しやがって」


「だって団長、好きに暴れろって言ったじゃないっすか」


「それとこれは別だ」


「オレ達、団長のこと信じてますから!」



 遠くで騎士達と話すリヒトの姿を追いながら、密かに胸元を握りしめた。 


 ……互いに命を預けあう、すごい信頼関係。これが、団長率いる魔獣騎士団第四部隊なんだ。


 ミアの瞳の奥底で、憧れの光が煌めいた。





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